QO1 窓口収入(保険)の把握
従業員に対する診療を行った場合、支払基金事務所等に保険請求する以外はお金をとっていません。
このような場合の取り扱いについて教えてください。
A01
診療をした従業員からお金を徴収しなくても、一般の患者さんと同様に
窓口負担分は売上に計上しなければなりません。
例えば総額1,000円の診療行為をした場合、患者さんの負担割合が
3割であれば300円の窓口現金収入が発生します。そのため同じ診療行為で同負担割合のスタッフの診療をしたにもかかわらず、従業員ということで窓口負担分を請求しないのであれば、売上に漏れが生じることになります。そうならない為に従業員を優待する場合は福利厚生費で経理処理することになります。
(ちなみに知人の場合は、交際費で経理処理します)
このように窓口収入を現金の収受に基づいて計上してしまうと、
本来認識すべき窓口収入との乖離が生じてしまいます。
その差が生じやすい為、窓口収入は税務調査の対象になりやすいのです。この設問のケースでは、その対策として全てのスタッフに一律適用される「治療費の優待規定」を作成するといいでしょう。「優待規定」を作成する事によって、治療費の優待がスタッフヘの現物給与にみなされずに済みますし、その所得に対する源泉所得税が発生することもなくなります。
優待にかかわらず、本来認識すべき窓口収入と入金ベースの窓口収入との乖離対策としては、やはり日々の売上管理をきちんと行うことが基本となります。具体的には以下の事を実践すれば、問題は少ないと思われます。前提条件としてのレセプト集計を正しく行い、本来認識すべき正しい窓口収入が把握出来るシステムを構築すれば、優待の売上漏れだけでなく、現金過不足をも認識出来ることになります。
・レジペーパーの保管管理
・日計表との確認
・通帳への入金管理
・未収金の管理 (未収ノート作成)
・優待の管理 (治療費の優待規定)
・現金過不足の管理
・領収書の確認
・クレジットカード売上の管理
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Q02 自由診療の計上基準
健診・予防接種 (市区町村及び医師会等)
はどのタイミングで売上計上すればよろしいのでしょうか?
A02
売上は金銭の収受とは関係なく、先生が診療を行った日をもって計上します。それは発生主義に基づき役務の提供
(健診・予防接種)
が完了した時点で収益を計上するべきであり、入金の時点をもって収益を計上するのは正しい収益の認識とはならないからです。
市町村・医師会等からの健診・予防接種収入は、診療した日から入金までに時間がかかります。そのため売上を現金主義に基づいて計上しますと、収入に漏れが生じることになります。意図的にではないにせよ、売上を少なく計上してしまうことになります
(参考:ただ期中を入金時点で売上計上している場合でも、期末時点で未収額を計上する処理をするのであれば漏れは生じません)。
売上の計上漏れを防ぐためには
「売上及び入金管理表」等を作成して管理するのが効果的です。この管理表に対象となる全ての売上を記載し、かつ実際にいつ入金したのかを管理する訳です。そうすれば、売上の漏れも生じませんし、入金漏れも防げます。
同様なケースとしては、
自賠責収入も挙げられます。自賠責収入も診療してから入金するまでに期間が空いてしまいます。そのため診療に基づいて売上計上しなければなりません。入金に基づいて売上計上すれば「健診・予防接種」のケースと同じように売上が過少になってしまいます。そのため自賠責の場合も「自賠責管理表」等を作成して管理するのが効果的です。
また自賠責収入には、他に別の論点があります。それは多数の保険会社から入金されるため、入金先を請求毎に個別に設定が出来てしまうのです。
つまり他の入金先を設定することにより、収入の隠蔽を図ることも出来てしまう訳です。ただ、こういった隠蔽工作も税務当局も十分理解していて、保険会社への聞き取り等により明らかになってしまいます。
しかも意図的で大きな売上除外を行ったケースでは、重加算税の対象にもなります。やはり「自賠責収入管理表」等を作成して
売上を極め細やかに管理する事が大切ということになります。
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QO3 その他医業外収入
当医院は、院内に公衆電話や自動販売機を設置しています。このような医業外収益について、注意すべき点があれば教えてください。
A03
ご質問の収入は、診療に付随して種々のサービスを提供する際に得られる医業外収益で、一般法人でいえばいわゆる雑収入で処理している内容がこれにあたります。以下に項目ごとに注意すべき点を説明します。
①自動販売機収入等
患者の便益を図るために医院内に自動販売機、公衆電話を設置した場合、または、消耗品やサプリメントを販売した場合には、医業外収入として収益計上します。これらの収入は、多くの場合が現金取引により生じ、小口で頻繁に行われます。収入管理表を作成するなどして計上漏れがないようにご注意ください。
② 駐車場収入
来院者の便宜を図るために駐車場を整備し、これに対する利用料を徴収している場合には、医業外収入として収益計上します。駐車場が自己所有でない場合には地代の支払いが発生しますが、利用者から徴収した収益はこれと相殺することなく、費用・収益を両建てする必要があります。なぜなら、消費税の計算においては、「総収入金額」が重要だからです。
③ 副産物収入
②と同じく、費用・収益を両建てすることが必要な項目として、副産物の収入があります。例えば歯科の場合、金歯を作成した際に生じた金の屑を業者が引き取り、その仕入代金と相殺している場合がこれに該当します。
④ リベート
医薬品や医療機器の購入業者その他、医療行為に関連して付き合いの生じるさまざまな人から金銭によるリベートを受け取ったり、院長などに対して不相当に高額な物品が贈与されたりする場合があります。この場合には、営業外収入として収益計上します。これらは、請求書・領収書等が残りづらいことから、税務調査において計上漏れが疑われやすい項目となりますので
ご注意下さい。
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Q04 休日診療による手当
開業医師の休日休診に対応をするため、私が加入している医師会では、輪番制で、市が設置した施設に赴き、市が備え付けた器具や医薬品を使用して診療等に当たっています。
市から、この報酬として、患者の数や診療の程度にかかわらず、1回の派遣ごとに定額の手当を受けています。この場合の報酬は、事業所得の収入金額となるのですか。
A04
自己責任において独立的に営まれる医業とは認められず、かつ固定給の性格が強いと認められる場合には、給与所得となります。医師や弁護士のような、いわゆる自由職業者が役務提供の対価としてうけるものは、原則として、それが雇用契約に基づくものであれば給与所得に、委任契約に基づくものである場合には事業所得として取り扱われることになります。
すなわち、このような所得については、その役務の提供に雇用契約に近い拘束
(例えば、役務のないような時間などに相当の拘束があることなど)
があり、かつ、手当等の支払い時期や金額があらかじめ一定している、いわゆる固定給の性格が強いものは給与所得とし、それ以外のものは事業所得として取り扱うことが合理的と考えられます。
ご質問の場合は、市などの地方自治体が備え付けた施設・器具や医薬品を使用して診療に当たり、医師に対する報酬の支払基準が患者数や診療の程度にかかわらず定額であることですから、その報酬はいわゆる固定給の計画が強いと考えられますし、また、自己の責任において独立的に営まれる医業とは認められませんので給与所得として取り扱われることになります。
(所基通28-9の2)
また、医師会によっては、輪番制で個々の診療所で自己の設備や医薬品を使用して診療等を行い、診療報酬とは別に市から休日診療手当てとして、定額の支払いを受ける場合がありますが、この場合自己の責任において独立的に営まれる医業の一環と認められます。
したがって、地方自治体から支払いを受ける休日診療手当ては事業の遂行に伴って付随して生じた収入として、事業所得の総収入金額に算入することになります。
(所基通27-5)
なお、この休日診療手当は、診療収入以外の雑収入として計上することになります。
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Q05 確定申告
9月より医療法人として事業を開始しましたが、個人事業主の最終年度における確定申告で注意すべき点はありますか?
A05
医療法人を設立した年度においては、医療法人の設立登記が完了するまでの1月〜
8月までを事業所得とし、9月〜12月までを給与所得として確定申告することになります。
医療法人成りをした初年度だけは個人の開業医としての事業所得と、医療法人から役員報酬としてもらう給与所得の2つの所得を合算して申告することになります。この場合、個人事業主としての最終年度になる1月〜8月までの事業所得については、今までどおりの確定申告と同じ事(医薬品の棚卸計上や未収入金、未払金の計上等)を行うことになるのですが、注意して頂きたいのは貸倒引当金の処理です。通常の事業年度と異なり、貸倒引当金を繰り入れる事は出来ず、貸倒引当金の戻入のみを行うことになります。従って、個人の最終年度の申告では貸倒引当金の戻入れ分だけ所得は増えることになります。
また、医療法人の場合は、都道府県による設立認可申請が受理され設立登記が完了しても、開設許可が得られ保険医療機関として指定申請を受けるまでは、医療法人として診療報酬の請求ができません。従って医療法人を設立した後に、社会保険診療報酬支払基金から今までの個人名義の口座に支払い金額が入金されてしまうことがあります。この場合は入金が個人の口座に振り込まれていたとしても既に法人が設立していますので法人の収益として扱う事になります。
尚、各都道府県により認可される時期に違いはありますが、個人最終事業年度は確定申告時に医師の社会保険診療報酬の特例における概算経費
(措置法26条) を使え、
所得を圧縮できる可能性もありますのでご考慮下さい。
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QO6
事業経費と家事費の区分
当医院は、一階を診療所に、二階を住居にしています。毎日領収書の整理をしていますが、事業経費と家事費の区分方法について教えて下さい。また、飲食や贈答品についてはどこまでが交際費となるのかの判断基準を教えて下さい。
A06
住居併用医院の場合には、単独の医院に比べ特に事業経費と家事費が混同しやすくなってしまうため、しっかりと区分することが大切になります。以下、診療所で発生する経費で混同しやすいものを検討してみましょう。
①水道・電気・ガス・電話・FAX料金
→
これらの経費については、住居と診療所でメーターもしくは回線を分けた方が好ましいです。ただし設計上の問題や金銭的な問題により分けられない場合には、合理的な按分方法
(占有面積率による按分等)
により按分して計上します。
②車に関する費用
→ Q8を参照して下さい。
③減価償却費・火災保険料
→
住居併用医院の建設時に工事の内訳明細等により住居と診療所とに分けて資産の計上をします。事業経費として計上できるのは、診療所部分に係る減価償却費と火災保険料のみです。
④飲食・贈答品代
→ 飲食費や贈答品代については、
交際費に該当するものが事業経費となります。
交際費の3要件
具体例
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具体例
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②
支出の相手先
…
「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」
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患者、提携病医院、薬局、出入り業者、出身大学の知人、医師会関係者、自院の勤務医・看護師・職員などの内部利害関係者
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③
行為の形態
…
「接待、供応、慰安、贈答、その他これに類する行為」
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お中元、お歳暮、旅行や食事への接待行為等
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交際費は、上記の3要件を全て満たすものと規定されています。
従って、いわゆる事業主である院長自身の自己接待費、院長自身の家族との飲食費、事業遂行上関連性の乏しい親族や友人との会食代などの私的な接待交際費は家事費に該当するため、必要経費には算入できません。
(注)交際費として認められるものは事業経費となりますが、法人税の計算上は、経費として算入できる金額に限度が設けられています。
※交際費の損金算入限度額の計算
(1)
個人クリニック ・・・ 全額が経費として算入できます。
(2) 医療法人
①拠出金1億円以下 ・・・ 定額控除限度額年600万円に達するまでの金額については、支出額の90%を経費として算入できます。年600万円を超える金額については、経費として算入できません。
②拠出金1億円超
・・・
一定全額が経費として算入できません。
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QO7 寄付金
この度、院長の母校の創立記念に伴い寄附金の募集がありました。この寄附金については経費となるのでしょうか。なお寄附の相手先は院長の母校というだけであり、取引関係など特別な関係はありません。
A07
個人事業の場合には、事業所得の計算上、必要経費とはなりません。なお、学校法人など特定の団体に対する寄附については、寄附金控除の対象となります。
医療法人の場合には、本来院長個人が負担すべきものであり、役員給与として取り扱われます。
【個人事業者の場合】
国立大学法人や私立大学等の特定公益増進法人に対する寄附金は、所得税で寄附金控除の対象となる特定寄附金に該当します。
寄附金控除は次の算式で計算します。
次のいずれか低い方の金額
一 5千円= 寄附金控除額
イ
その年に支出した特定寄附金の合計額
ロ
その年の総所得金額等の40%相当額
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ただし、学校の入学に関してする寄附金は特定寄附金の対象外となります。
したがって、院長が新入生の父母の場合、所得税法では学校の入学に関してするものとみなされ、寄付金控除の対象とはなりませんのでご留意ください。
【医療法人の場合】
ご質問の場合、法人が負担する寄附の相手先は院長の母校というだけであり、本来は院長個人が支払うべきものです。したがって、法人が負担する金額は院長に対する給与として取り扱われます。このような臨時的な給与は、法人税では損金算入の要件を満たさないこととなります。さらにこの分の給与に対して所得税の源泉徴収が必要となります。
なお、院長は寄附金が給与所得として課税されますが、所得税の確定申告において上記〔個人事業者の場合〕の寄附金控除の適用を受けることができます。
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QO8 車両について
自家用車をクリニック用のものとして使えますか?
A08
院長先生が通勤用目的で使用する車両についての経費算入は、単純には決められません。
なぜなら、医療法人でも個人医院でも経費算入が可能なのは事業に使う車両に限られるからです。
医療法人と個人医院との間には、経費算入の扱い方に違いがあり、医療法人の場合には、ほぼ100%損金算入が可能ですが、個人医院の場合には自己否認 (例:週休1.5日制のクリニックの場合1.5日÷7日=21.4%→切下げ ∴20%) が必要となります。
否認する理由は、上記にも書きましたが、事業に使用しているのかどうかが鮮明では無い部分がある為です。この差は医療法人のメリットの一つとなっています。
価格の面からは、クリニックの年間収入金額と車両価格とのバランスが重要です。年間収入金額が3000万円のクリニックで1500万円の車両を損金化 (=経費算入) するのは、判断に困難を伴います。
2台目の取得についても、個人医院の場合なら青色事業専従者が、又、医療法人の場合なら理事が、使用している2台目の車両が該当してきます。一般的に、医療法人の場合は、使用実態に問題が無ければ、ほぼ100%経費算入が認められております。
しかし、個人医院の場合、院長先生が取得した車両と同様に、たとえ当該車両を毎日通勤に使用していたとしても自己否認割合を高め (例:50%等)に設定する必要があります。 2台目ということもあり、かなり家事費的な色合いが濃くなります。
又、車両を使用することによりガソリン・保険・修繕・自動車税等・付随する様々な費用が生じてきます。これらの費用につきましても、その元となる車両の経費算入割合に従って、税務上の処理をすることとなります。
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QO9
ホームページ製作費用
この度、当医療法人もホームページの作成に着手します。予算としては100万円くらいを考えています。全てその期の経費になるのでしょか?
A09
ご存知のようにホームページとは、文字や写真を使用することによってWEB上で表示されるものです。医療法人では、「診療案内」「院長の紹介」「治療方針」「交通案内」等の情報を表示することにより、広く多くの方々にクリニックの特色を知って頂く事を目的としています。
全てその期の経費に出来るかという事ですが、原則は支出時に広告宣伝費等として一括損金参入することが出来ます。
(ただし自社情報を掲載する目的のホームページ作成費用のうち外部業者に委託した費用が前提となります)
それは一般的にホームページが何度も利用出来る性質のものではなく、また長期に使用されるものでもないからです。
(1年以内に内容が更新されるため)
そのため作成費用を支払った時点で全て損金算入する処理が認めらます。
ただホームページの使用年数が1年超となれば、使用期間に基づいて均等償却しなければなりません。また作成するホームページによっては、プログラミング言語を用いてデータベースやネットワークにアクセス出来るように設定する場合もあると思います。
これらの費用はプログラム作成費用であり、ソフトウェアとして資産計上しなければなりません。そのような場合のソフトウェア作成費用は、他の作成費用とは別に「無形固定資産」として資産計上することになります。その場合の償却年数は5年となります。
ソフトウェアを区別出来ない場合は、全額「無形固定資産」として計上しなければなりません。それを避けるためには、見積書・請求書で内容を明確にしておく必要があります。
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Q10 資本的支出と修繕費
当医療法人で使用しているMRIのオーバホール費用として約300万円を支払うことになりました。この金額は全額を修繕費として計してよろしいのでしょうか?
それとも資産に追加計上すべきものが含まれているのでしょうか?
計上時の判断基準を教えて下さい。
A10
ご存知の通り、新たな資産を取得するための支出は、資産に計上されますが、既存の資産に対する追加支出は、それが資本的支出として資産に計上されるものなのか、修繕費として費用に計上されるものなのか判断が難しい場合があります。
【資本的支出と修繕費の判断基準】
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①20万円未満か
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YES → 修繕費
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↓ NO
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②おおむね3年以内の周期か
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YES → 修繕費
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↓ NO
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資本的支出 ← YES
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③明らかに資本的支出か
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↓ NO
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④明らかに修繕費か
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YES → 修繕費
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↓ NO
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⑤60万円未満又は前期末取得価額のおおむね10%以下か
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YES → 修繕費
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↓ NO
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※資本的支出 ← YES
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⑥継続して7:3基準によっているか
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YES → 修繕費※
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↓ NO
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資本的支出 ← YES
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⑦実質的に判定して資本的支出に該当するか
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↓ NO
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修繕費
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※7:3基準によって修繕費に該当あうるもの
資本的支出か修繕費か明らかでない支出の額で、支出額の30%又は取得価額の10%のいづれか少ない金額を修繕費として損金経理したもの
判定は、上記のフローチャートに従って、①から⑦の順番に行います。①と②に該当するものは、その支出が資本的支出としての性格を有するものであっても修繕費として処理することができます。次に、③と④で、明らかに資本的支出に該当するものと、明らかに修繕費に該当するものに区分します。
この段階で残ったものは、修繕費なのか資本的支出なのか明確に判断できないものということになります。従って③④により判断がつくものを⑤⑥によって修繕費として判定することはできません。
⑤による判定は、その支出額が60万円未満、又は前期末における取得価額のおおむね10%以下であれば修繕費となります。
⑥による判定は、継続適用を条件として、支出額の30%相当額と前期末における取得価額の10%相当額のいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出として処理する方法です。これらの①から⑥によっても判断できなかった場合には、実質基準によって個別に判定していくことになります。
病院の医療機器の中には、本体価格が高額で、そのメンテナンス費用だけでも相当な金額が必要となるものがあります。
今回のMRIは、本体価格が2億円近くするもの (期末帳簿価額は約1億円)であったことから、上記の⑤による判定
(資本的支出か修繕費か明らかではないが、その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね
10%相当額以下である場合)
により修繕費として全額経費処理することが認められます。
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Q11 設立5周年慰安旅行
当医院は設立5周年記念に伴い、シンガポール4泊5日の記念旅行を実施することになりました。この場合、全額を福利厚生費として処理しても問題ないでしょうか。
A11
法人がその役員または使用人のレクリェーションのために慰安旅行の費用を負担した場合には、原則として福利厚生費として取り扱うことが認められています。
ただし、社会通念上一般に行われていると認められる慰安旅行である必要があります。なお、海外で慰安旅行を実施した場合には、次のいずれの要件も満たしている場合には、全額を福利厚生費として会計処理することが認められています。
①
その旅行に要する期間が4泊5日 (目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数によります)
以内のものであること。
② その旅行に参加する役員または使用人 (以下「従業員等」といいます)の数が全従業員等の50%以上であること。
上記①及び②を満たさない場合、または①及び②のいずれの要件も満たしている場合であっても、いわゆる豪華旅行や法人負担額が多額なものなどは、課税されることとなりますのでご注意ください。
この場合、役員分の旅費は役員賞与として損金不算入となり、従業員分の旅費は給与として課税されます。
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Q12 リゾート会員権の購入にあたって
当医院は、福利厚生充実の為に、リゾート会員権の購入を検討していますが、入会金や年会費などはどのように取扱われるのでしょうか?
A12
【入会金】
リゾート会員権等のレジャークラブの入会金については、「資産計上」又は「給与」として取り扱われます。資産計上した入会金は、原則的に償却することはできません。ただし、会員としての有効期間の定めがあり、かつ、脱退時に入会金相当額の返還を受けることができないものは、有効期間で償却することができます。
また、特定の職員しか利用できない状況である場合など、個人が負担すべきものであるときは給与として扱われ、所得税が課せられます。さらに、その特定の方が『役員』である場合において、定期同額給与に該当しないものは、費用(損金)になりません。
【年会費・利用料等】
リゾート会員権等のレジャークラブの年会費等については、
費用計上が認められます。さらに、使途に応じて「福利厚生費・給与・交際費」のいずれかに取り扱われます。
まず、「福利厚生費」として費用計上するには、
職員が一律に利用できる状況でなければなりません。
それには、利用規程を作成し、施設の利用方法等を定めて職員に周知させることや利用状況を記載したノートなどを作り、管理することが望まれます。
次に、特定の職員しか利用できない状況である場合には、その料金は、その特定の方の「給与」
として扱われ、所得税が課せられます。さらに、その特定の方が
『役員』である場合において、定期同額給与に該当しないものは、入会金同様、費用
(損金) となりません。
最後に、得意先等の接待で利用される場合には、「交際費」として扱われます。この場合、その一部又は全額が費用
(損金) になりません。
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Q13 海外研修
当医療法人の理事長が、海外で開催される医学会に参加いたします。学会は2日間にわたり開催されますが、せっかくの海外ですので学会とは別に2日間の観光も計画しています。今回の学会参加費用は、どのように取り扱われるのでしょうか。
A13
医師が海外で開催される学会等の参加費用等については、その海外渡航が事業の遂行上必要であるものについて損金算入されます。したがって、学会参加費、関連する旅費については通常損金に算入されます。しかし、ご質問のような観光・土産等の個人的な支出部分については役員給与として取り扱われます。
医師が学会等に参加し知識や技術を習得することは、質の高い診療業務を営む上で必要不可欠であり、損金に算入することができます。この場合、参加のための交通費、宿泊代等の経費で通常必要であると認められる額についても計上することができます。
一方、事業と関係のない観光費用などについては、個人事業の場合は必要経費とならず、医療法人の場合には給与として取り扱われ、損金にも算入されません。そして、あらためて源泉税の課税対象とされます。従って仮払経理等をし、後で個人負担をしてもらえば問題ありません。
海外旅行が事業遂行上必要であるかどうかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定します。
また、業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行とを併せて行う場合には、海外渡航費を業務の遂行上必要と認められる旅行の期間と認められない旅行の期間との比等により按分して判断します。今回のケースでは、海外渡航の直接の動機が業務の遂行のためであるため、現地までの往復の旅費は業務遂行上必要なものとして取り扱い、残額について判断することとなります。
このような研修費については個人的な支出が混入されやすいので、税務調査では学会等の日程、領収証等が詳細にチェックされます。したがって、学会出張清算明細や研修費の使途明細の作成、業務との関連性を示す記録を整備しておくことが望ましいです。
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Q14 役員社宅の取り扱い
当医療法人の理事長に社宅を提供しようと考えています。
役員に社宅を提供する際には、本人から適正賃貸料を徴収しなければならないと聞きましたが、この適正賃貸料の計算方法を教えて下さい。
A14
役員社宅の適正賃貸料の計算方法につきましては、下記の区分により算定します。
①医療法人所有の社宅を提供する場合
算
式
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月額適正賃貸料= {家屋の固定資産税の課税標準額×12%
(耐用年数30年超は10%) +敷地の固定資産税の課税標準額×6%}×1/12
【※】 建物や土地だけ貸与している場合には、その建物や土地だけにつき上記の取扱いを適用します。
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②他から借り受けた社宅を提供する場合
算
式
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月額適正賃貸料 =
使用者が支払う賃貸料の1/2
又は、
上記①の算式による額のいずれか多い額
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※豪華な役員社宅の取扱い
通常の社宅とは認められないような豪華な社宅を提供しようと考えている場合には、時価により計算することになるので注意が必要です。
算
式
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月額適正賃貸料=時価
【※】時価の算定については、一般的に次のような方法があります。
①近傍類似価額
②第三者に貸し付けた場合の賃貸料相当額
③不動産業者の意見
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豪華社宅の判定
(1)社宅の床面積が240㎡超の場合
社宅等の取得価額、内外装、その他設備の状況などを総合勘案して判定します。
(2)社宅の床面積が240㎡以下の場合
原則として豪華社宅とはなりませんので上記①②の適正賃貸料で評価されます。
ただし、プールやテニスコートなど役員個人の嗜好等を著しく反映した設備を有する場合は、時価により評価されます。
上記の方法により計算した賃貸料相当額を役員本人から徴収していない場合には、その差額がその役員に対する給与として、所得税・個人住民税の課税対象とされます。
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Q15人件費等
人件費等についての税務調査のポイントを教えて下さい。
A15
人件費につきまして、役員報酬以外の項目で特に問題になりますのが、①
架空人件費の計上、②
親族への不相当に高額な給与の支払いです。
①
架空人件費の計上
納税額を減らすために、人件費を水増しするといった悪質な手段が用いられることがあります。実際には働いていないアルバイトの給与を架空計上するものです。すでに退職した人間の名義を用いたり親戚筋の名義を一時的に借りたりするケースが想定されます
これらはいずれも意図的な脱税ですので、税務調査で事実が発覚した際には、重加算税が課されます。くれぐれもこのようなことがないようにご留意ください。
(注)
重加算税とは、税金計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺい又は仮装した場合に課される罰則です。仮装した場合に追加で支払う税額は、35%と非常に重くなっています。
②
親族に不相当に高額な給与の支払い
親族に支給する給与として、個人事業主の場合には青色専従者給与があります。
青色専従者給与は事業主の恣意性が介入しやすいので、税務当局から租税回避の手段と捉えられ易くなります。
このため「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」による事前届出金額の範囲内で労務の対価として適切であるかどうか、経験年数・職務内容や世間相場、経営者の支払能力などから検討して、適正額を支給する必要があります。
この点、医療法人化して理事 (役員)
となった場合、理事には医療法人の事業及び管理事務等の業務執行の対価として役員報酬が支給されます。
一般的には、専従者より理事の方が、業務範囲が広いため、より多額の給与を支給することが可能となります。
ただし、あまりにも高額な役員報酬を支払った場合には、Q18で述べる過大役員報酬の実質基準の規定が適用され、損金不算入となりますのでご注意ください。
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Q16 非常勤医師に対する源泉徴収
当医院は、非常勤医師に対してその都度給与を手取り契約にて支払っています。この場合、注意することがあれば教えて下さい。
A16
医療機関では、慣習として非常勤医師の給与を手取りベースで契約し勤務の都度現金で支払うケースが見受けられます。
非常勤医師は他にもいろいろな勤務先での収入があるため、
非常勤の勤務先に対しては「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出をしていないのが一般的です。
このような場合、非常勤医師の給与に対して適用される源泉徴収税額は、日額表
(勤務の都 度現金で支払っているため) の乙欄
(「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出がないため)となります。
例えば、1日あたり手取り5万円の非常勤医師
(扶養親族等の数が0人、社会保険料等の控除がないと仮定します。)
の場合、源泉徴収税額は日額5千円となります。仮に1ケ月8回支払いますと、当該常勤医師の給与手取額は40万円ですが
別途、源泉徴収税額を月額4万円納付する必要があります。
<1日あたり手取り5万円の場合の日額表乙欄の計算例〉
・源泉徴収税額=11,930円+(社会保険料等控除後の給与総額-33,000円)
×31.5%
=5,000円
・手取逆算式 : X-{11,930円-(X- 33,000 円)x31.5%}=50,000円
・X-税込日額=55,000円
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源泉徴収税額=税込日額-手取額-5,000円
このように、非常勤医師に対してその都度給与を手取り契約にて支払っている場合、故意でないにしても源泉所得税の徴収漏れが起こりえます。税務調査の際には、過去3年または5年分の徴収漏れを指摘されることがあります。後になって本人から徴収することは難しいため、代わりに負担することになってしまいます。
なお、源泉所得税については、法人税・消費税とは別に、源泉所得税単独で税務調査が行われることもありますので、注意が必要です。 |
Q
17 決算賞与の検討
今期患者が大幅に増えたことにより大きな利益が出る見込みです。
決算を迎えるにあたって、法人で働く全ての人に決算賞与を検討したいと思います。
支給するにあたって何か問題はありますか。
A 17
業績が好調で予想以上に利益が出た場合など、従業員に利益を一部還元し、モチベーションを高めてもらうために決算賞与を支給することがあります。
使用人に対する未払給与について、決算時において給与の締め日から決算時までの分を日割り計算で未払い計上することはできますが、使用人に対して未払賞与を損金計上するには、以下の要件を満たす必要があります。
1)支給額を各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること
2)通知した金額を当該通知したすべての使用人に対しその事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払っていること
3)その支給額につきその事業年度において損金経理していること
未払賞与を税務上損金としている場合には税務調査時に確認を受けることがありますので、通知書の保管や支払要件等につきましては必ずご確認しておく必要があります。
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